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要旨:中島敦には「古譚」と総題を付けられ、古代の物語を取材した短編小説があり、それは「文字禍」、「木乃伊」、「狐憑」、「山月記」の四篇である。これら四篇の中では、特に「山月記」は長く日本の高校国語教材の古典として教科書に採用されてきて、日本の文学史上でも非常に重要な位置を占める作品である。 本論文では、原典素材『人虎伝』との比較、中島文学に一貫して流れるテーマとの関連、『古譚』諸作品との関わり、という三つの視角を通して、『山月記』の主題、特に主人公李徴が何故虎に変身したのかについて検討してみた。そして、以下の結論が出た。 『山月記』の作者中島敦は、『人虎伝』の枠組み――「虎になった人間の話」の中に、詩人としての李徴像をまず持ち込み、さらに、そこに中島敦の生きていた時代の地平や関心であった存在論、芸術と実生活の差異、自我性情の問題などを持ち込むことで、原典素材を変容している。この変容、あるいは転換の論理としての人間存在への懐疑、詩人の芸術と実生活の背反、あるいは自我の性情という精神の病理が貫徹されることで、『人虎伝』の枠組み――「虎になった人間の話」が生かされ、近代人的な物語として、『山月記』は蘇ったのである。 キーワード:山月記 人虎伝 近代人 転換 対照研究
中文摘要:在中岛敦的作品当中,有四篇短篇小说是从古代故事当中取材,并以《古谭》为总题的。这四篇分别叫做是《文字祸》,《木乃伊》,《狐憑》与《山月记》。在这四篇当中,尤数《山月记》最为著名,它长期作为日本高中语文教科书的古典课文部分被采用,在日本的文学史上占有极其重要的地位。 本论文从《山月记》与原著素材《人虎传》的比较,中岛敦文学一贯的主题,《山月记》与《古谭》其他作品的关联这三个视角出发,就《山月记》的主题,特别就主人公李徵变虎的原因进行了探讨。并得出了以下结论。 《山月记》的作者中岛敦,先将主人公李徵设定成执意成为诗人的人,然后将这一人物性格的变动带入到原著素材《人虎传》――“变成老虎的人” 这一故事框架当中,然后在此基础上,继续将中岛敦本人生活时代所产生的存在论,艺术与实际生活的差异,自我性情的问题等等逐一投入到这一故事框架当中,完成了对原著的再创造。这种再创造,实际上就是指:对于人类存在本质的怀疑,诗人的艺术与实际生活的背离,以及自我性情所产生的精神上的疾病。正是因为通篇贯彻了这样一种再改造,《人虎传》的故事框架――“变成老虎的人”才被赋予了生机,作为近代人的物语――《山月记》,重新焕发了光彩。 关键词:山月记,人虎传,近代人,转换,对照研究
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