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要旨:江戸時代の徳川幕府は、平和的な国際環境に恵まれて空前かつ安定的な統治を行うことができた。それによって盛んな町人文学の登場が迎えられた。城下町を中心とする商工業の繁栄につれて、町人を担い手とする町人文化が徐々に台頭し、商品化の町人文学もついに主流的文学ジャンルになった。その一方で、中国大陸の明清においても江戸時代に似ている市民文化が隆盛を極めた。明清の時代では、安定的な中央律令集権体制の下で、社会経済が著しい発展を遂げ、市井階層が大きな成長をおさめた。市井階層は自分を享受主体とする市井文学の世界を切り開いた。この二つの違う土壌に培われた中日の市民文学は時間的にはほぼ同時進行だったほか、形式的にも似ている部分は少なくなかった。しかし、中身の精神的な文学特色は、明清市井文学と江戸町人文学の背景によってそれぞれちがっているのもいうまでもない。筆者の知る限りでは、今まで明清の市井文学と江戸の町人文学に関する比較研究は、作品の比較、または、人物の比較というようなミクロ研究は圧倒的に多く、中日文化の比較視角からのマクロ研究はあまり見られないと言える。 本文では、中国の明清市井文学と日本の江戸町人文学のマクロ比較を中心にして論述を展開する。この比較研究によって両国文学の歴史的な交流と融合を改めて凝視することができる。今日の中国は『科学的、民族的、大衆的』という新時代なりの特色がある文化を作り出そうとしており、ある意味において、本研究はその偉大な新文化の建設に微力になるかもしれないと思われる。 キーワード: 明清時期;市井文学;江戸時代;町人文学;比較
目次 要旨 中文摘要 第一章 はじめに-1 1.1 研究背景(意義)-1 1.2 中日における先行研究-1 1.3 研究方法-1 第二章 江戸町人文学について-3 2.1 時代背景-3 2.2代表作品-3 2.3 文学特色と分類-3 第三章 明清市井文学について-5 3.1 時代背景-5 3.2文学特色と分類-5 3.3代表作品-5 第四章 明清市井文学と江戸町人文学の比較-7 4.1 背景の比較:町人文化と市井文化-7 4.2 特色の比較-9 第五章 おわりに-11 5.1まとめ-11 5.2本研究の意義と欠点-11 5.3今後の展望-12 参考文献-13 謝 辞-14 |